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身体を自覚した瞬間
自然治癒力は生じる

KUMADE by 熊谷 卓眞
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治癒の原理原則

過去を無視して痛みを消すことはできない。「諸法無我」の真実。仏の教えと数理モデルが紐解く、因果の解読とネットワークの再編

「昔から肩が悪いから」

「私は慢性的な腰痛持ちの体質だから」

「もう歳だから、この骨格は一生変わらない」

長く不調に苦しむ患者様は、ご自身の身体に対してこのような「固定されたレッテル」を貼ってしまいがちです。しかし、実はこの「私という身体(不調)は、固定された実体である」という思い込み(錯覚)こそが、治癒の可能性を根底から塞いでいます。

今回は、仏教の根本真理の一つである「諸法無我(しょほうむが)」と最先端の数理物理学から、「固定された悪い身体など存在しない」という治癒の真実と、施術者熊谷が本質について解き明かします。

仏教的な視点から:「私」とは固定された実体ではなく「関係性」である

「諸法無我(しょほうむが)」とは、「諸法(あらゆる存在・現象)に、我(固定的な実体)は無し」という意味の仏教用語です。

人間は、自分という存在を「他から切り離されて独立した、変わらない固体のパーツ」のように錯覚し、それに執着します。しかし実際には、私たち人間も身体の痛みも、「過去の歴史」「環境」「他者との関係」など、膨大なネットワーク(仏教用語で「縁起(えんぎ・因果)」)の一部としてしか成立していません。

「私」という存在は、固定された「モノ(実体)」ではなく、常に過去から現在へと繋がり、周囲と影響し合いながら変化し続ける「プロセス」そのものです。

ブッダは、「実体としての私など初めから存在しない」と自覚させることで、個への執着(私はこういう人間だという固定観念)から人々を解き放ち、ネットワーク全体(縁起)を俯瞰する視点へと引き上げるためにこれを説きました。

苫米地定理が証明する「存在の方程式」(数理モデルの視点)

この「固定された実体など存在しない」という仏教の真理は、認知科学者・苫米地英人博士の『諸法無我定理(定理25)』によって、見事に数学として証明されています。

定理25では、現在の状態(存在)を次のように定義しました。 【存在 = 履歴(過去の入力) + 関係性(他との繋がり)】

すべての存在は、物理層から空までの包摂体系にまたがる層別の実装・表象・痕跡として位置づけられ、双方向の役割関係を含む縁起の網の中で成立する。関係的状態を超えて独立し、かつ非冗長な因果効果をもつ固定的自性は存在しない。

引用元:苫米地英人『苫米地四法印定理(暫定公開版)』

🔗Cognitive Research Laboratories 公式ブログ

この数式が証明しているのは、「過去の履歴や環境から切り離されて、突然ポンと単独で存在する『絶対的な病気』など存在しない」という事実です。 あなたの今の痛みは、「過去の動作や習慣(入力履歴)」と「今の環境(関係性)」から毎秒毎秒計算して弾き出されている「一時的な結果」に過ぎないのです。

当院の臨床的な視点:複雑な「因果」を解読し、ネットワークを再編する

当院では、この定理25(諸法無我)を根拠として、独自の創造的思考によって論理体系化したコンディショニングを行っています。

① 過去(履歴)を無視して、痛みだけを消すことはできない

遺伝的な要因はもちろんのこと、生活習慣や環境要因によって生じた身体の硬さや歪みが、循環障害や神経障害を引き起こします。この「過去からの連続した因果(縁起)」が、現在のあなたの身体を作っています。 つまり、この因果(歴史)を無視して、いきなり結果である「痛み」だけを取り去ることは物理的にも数学的にも不可能です。

② 術者の真の力量とは「因果を創造的に読み取る」こと

カイロプラクティックや鍼灸など、手技療法の歴史は「因果をどう捉えるか」の探求の歴史でもありました。しかし、「背骨のズレがすべての原因だ」「ここが悪い実体だ」と一つのパーツに原因を固定したり教科書通りの型にはめてしまうと、諸法無我の法則から外れ、治癒は行き詰まります。

当院における術者の最大の力量とは、問診・視診・触診を通じて、患者様の複雑に絡み合った「身体の歴史(履歴)」と「今の関係性(全身の連動)」を、創造的に読み取ることにあります。 表面的な痛みに騙されず、「本当の因果(始まりの原因)」を正確に探し当てる。この高度な情報の読み取りとアプローチが正確であって初めて、治癒のエネルギーは起動します。間違った因果の捉え方では、決して治癒は生じません。

③ 臨床とは「ネットワークの再編(書き換え)」である

施術とは、術者が患者様の筋肉という「モノ」を物理的にこねくり回して修理することではありません。 「患者様」と「術者」という2つの視点が繋がり、双方向の正しい情報交換(縁起)を通じて、患者様の脳内にある「私は痛い・一生治らない体質だ」という自己表象のネットワークを、本来の正しい状態へと再編(書き換え)する共同作業なのです。

結論:自然治癒の原則(四法印の完全統合)

これまでの連載でお伝えしてきた仏教の真理と数理モデルは、ここで一つの巨大な「自然治癒の原則」として完全に統合されます。

  • 【諸行無常】+【諸法無我】: この世界のデフォルト(基本仕様)は、「常に変化し続け、独立して固定された実体(パーツ)など存在しない」ということです。
  • 【一切皆苦】: その変化し続ける世界の中で、「絶対に痛まない完璧な状態(固定)」に執着するからこそ、必ず強烈な摩擦(痛み・苦)が生じます。
  • 【涅槃寂静】: 「私はこういう身体だ」という固定化された執着を手放し、痛みのセンサーを正しく働かせながら、他力(術者)とのネットワークの中でしなやかにバランスを取り続けること。その結果として、エラー(苦)が実質的にゼロになる『動的安定』が達成されます。

「一生治らない骨格」も「変わらない体質」も存在しません。 どうかご自身の身体を固定されたレッテルで縛り付けず、私たちと一緒に、新しい身体の因果(ネットワーク)を再編していきましょう。

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