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Axillary Nerve [腕が挙がらない・夜間痛] :: 腋窩神経の摩耗とC6-C8調整

腋窩神経

Complaint [訴]

40代・50代男性 / 挙上時の激痛・夜間痛

主訴・随伴症状: ある日突然、肩に激痛が走り腕が挙がらなくなった。 野球、ゴルフ、あるいは洗濯物を干す等の日常動作が引き金。 夜中にズキズキと痛む「夜間痛」があり、眠れない。

病院(整形外科)での診断は「四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)」。レントゲン等の画像所見は「異常なし」。 原因は「加齢による老化」とされるが、医学的には「原因不明」と同義であり、痛み止めや湿布、運動療法で様子を見るしかない状態。

Mitate [見立て]

腋窩神経の摩耗・炎症および誤った運動習慣

構造的所見・メカニズムの解釈: 医学的診断の限界: 「四十肩ですね」という診断は、画像(骨や重篤な断裂)に異常が見られない場合の「消去法」であり、実質的には「原因がわかりません」と言われているに等しい。 腱板断裂や石灰沈着など、画像ではっきり写る原因は全体の1~2割程度。

見立て: 多くの痛みは「神経痛」である。特に40代50代の肩の痛みは、腋窩神経などの神経が物理的に摩耗し、炎症を起こしているケースが大半。

夜間痛の正体: 良かれと思って行っている「肩周辺のマッサージ」や「肩甲骨を寄せる運動」が、逆に神経を摩耗させ、炎症を悪化させている。これが夜間の激痛を引き起こす。

可動域による鑑別

  • 重度(True Frozen): 45度も挙がらず、完全にロックしている。これは腱板損傷や関節の前方変位など、深刻な構造的問題の可能性が高い。
  • 神経由来(広義): 90度付近までは挙がるが、それ以上で激痛が走る、あるいは外旋制限がある。これは神経の炎症が主因。

Memo

多くの医療機関では、軟部組織(筋肉や神経)の評価が難しく、「様子を見ましょう」となりがちだが、神経の走行と機能を理解していれば原因は特定できる。

Sejyutu [施術]

頸椎(C5-C6)由来の神経調整と運動修正

アプローチなど 神経の根本へのアプローチ: 患部である肩だけでなく、腋窩神経の経路をたどる。その根本は頸椎5番~8番(C5-C8)*からなる腕神経叢の一部である。

当院では、この頸椎に近い部位(神経の出処)へアプローチを行い、硬結(コリや組織の硬化)の弾力性を高めることで、本来の治癒力を促進させる。

運動指導と「原因の原因」: 神経を傷つける「間違った運動(肩甲骨を寄せる等)」を修正し、正しい身体の使い方を指導する。 単に肩を治すだけでなく、その神経障害を引き起こした「姿勢」「循環」「生活習慣」といった根本原因(原因の原因)に合わせて、呼吸器系や自律神経系を含めた全身調整を行う。

Outcome [果]

可動域検査に基づく予後予測

症状の変化・残存課題と共有 予後の目安:

  • 可動域90~100度(当院基準)の場合: 主に神経の炎症が原因。施術により炎症が治まれば、概ね2~3週間で改善が見込める。
  • 可動域60~90度の場合: 神経炎に加え、身体の歪み、循環障害、呼吸器系、自律神経の問題などが複合している可能性が高い。この場合は、神経以外の「別の問題」へのアプローチも並行して行う必要がある。

自覚の促し: 痛みの原因が「不明」ではなく「神経の摩耗」であることを理解し、正しいケアを行うことで、早期改善が可能となる。

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