Complaint [訴]
主訴・随伴症状・観察事項
- 主訴: 運動中、膝をつく動作をした際に前側に痛みが生じる。
- 観察事項:
- 下肢長差(足の長さの左右差): 顕著な歪みあり。
- 膝周囲の腫脹: 本人に痛みの自覚がなかった時期から、膝周囲(特にお皿の下部)にむくみが溜まっている状態。視覚的には「お皿が2つある」ように見える特有の形状を呈している。
Mitate [見立て]
構造的所見・メカニズムの解釈
今回の膝の痛みは、突発的なものではなく、長期的な機能低下の結果です。
- 「お皿が2つある」現象の正体: 本来、膝蓋骨(お皿)と大腿骨の間は、十分な潤滑液によって摩擦から守られ、スムーズに滑走します。しかし、何らかの原因でこの潤滑機能や組織の弾力性が低下すると、身体は防御反応として患部に「水(むくみ)」を集め、クッション代わりにして保護しようとします。これがお皿の下の腫れの正体です。
- 痛みの発生機序: むくみで保護されている(=本来の潤滑性がない)状態で、膝をついたり激しい運動を行えば、保護機能が限界を迎え、組織間の摩擦や圧迫により炎症が引き起こされます。
- 根本原因の連鎖(Deep Dive): 膝のクッション性を奪った直接的な原因は大腿四頭筋の弾力低下ですが、その背景には以下の複合的な要因が隠れていました。
- 骨盤の歪み: 下肢長差や殿筋の左右差が大腿部への負担を偏らせている。
- 循環障害と自律神経: 鎖骨周囲の緊張が自律神経(特に副交感神経)に影響し、胃腸機能の低下や末端の冷えを誘発。これが全身の循環障害を招き、結果として膝周囲に「抜けにくいむくみ」を作ってしまっています。
Memo
予後を決定するサイン 患者さんご自身が「痛い」と感じる以前から、身体は「むくみ」という形でサインを出しています。特に下肢長差と、お皿の下の腫れの状態を確認することは、予後(治りやすさ)を見極める上で極めて重要です。
Sejyutu [施術]
アプローチなど
単に膝の水を散らすのではなく、むくみを作らせてしまう「循環の滞り」と「構造の歪み」へアプローチしました。
- 構造的調整:
- 下肢長差の改善による骨盤バランスの整復。
- 大腿四頭筋のストレッチ及び、機能低下を起こしている殿筋へのアプローチ。
- 循環・自律神経調整:
- 鎖骨周囲の調整。
- 患者様へ鎖骨調整方法の指導(セルフケア)。
Outcome [果]
症状の変化・残存課題と共有・自覚の促し
- 変化: 施術後、運動時の膝の痛みは軽快。
- 共有事項: 膝の痛みは取れましたが、根本にあるのは「身体のむくみやすさ(循環の弱さ)」と「骨盤の左右差」です。胃腸の調子や手足の冷えは、膝のコンディションと直結しています。教えた鎖骨のケアを続けながら、お皿の周りがすっきりした状態(お皿が一つに見える本来の形)を維持できるよう整えていきましょう。