理論編:WHY?

【ストレッチの基本④】動的ストレッチの常識を覆す。「縮める」ことで、なぜ伸びるのか?

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【ストレッチの基本④】動的ストレッチの常識を覆す。「縮める」ことで、なぜ伸びるのか?

はじめに:「動的ストレッチ」を、誤解していませんか?

ラジオ体操や、スポーツのウォーミングアップで行う「動的ストレッチ」。 あなたも、「動きながら筋肉を伸ばすこと」だと思っていませんか?

しかし、もしその常識が、あなたの身体の可能性を半分しか引き出せていないとしたら?

この記事では、私が考えるもう一つの、そしてより本質的な動的ストレッチ – 「動かしながら、縮める」 – というアプローチについてお話しします。なぜ「縮める」という行為が、最高のストレッチになり得るのか。その驚くべきメカニズムを解き明かしていきます。

目的は同じ:質の高い「大掃除」

静的ストレッチの記事で、私はストレッチの目的が、古く弾力性を失った筋線維を「大掃除」することにある、とお話ししました。

動的ストレッチも、その目的は全く同じです。 不要な筋線維を掃除し、筋肉の「質」を高める。ただ、そのアプローチが「伸ばす」のではなく「縮める」というだけなのです。

なぜ「縮める」ことが、ストレッチになるのか?

と混乱されるかもしれません。 その答えは、筋肉の構造を、一枚の四角い「漁網」のようにイメージすると見えてきます。

漁網のイメージ
  • 静的ストレッチは、漁網の四隅を、それぞれ外側に向かって均等に引き伸ばす行為です。この張力に耐えられない、弱い網目が断裂します。
  • 動的ストレッチは、漁網の一組の対角(例えば右上と左下)を引っ張りながら、もう一組の対角(左上と右下)を縮める動きです。そして、これをリズミカルに繰り返します。この「伸び」と「縮み」が同時に起こる複雑な動きの中で、うまく対応できない硬く劣化した網目が、周りの正常な網目に引っ張られて断裂するのです。

伸ばす力に耐えられない線維もあれば、縮む力に耐えられない線維もある。 この両方のアプローチで「大掃除」を行うことで初めて、筋肉は隅々まで質の高い、しなやかな状態へと生まれ変わるのです。

ストレッチイラスト
静的ストレッチイメージ
収縮ストレッチ
動的ストレッチイメージ

「筋トレ」との決定的な違い

「縮める動きを繰り返すなら、それは筋トレでは?」という疑問が浮かびますよね。 ここに、非常に重要な違いがあります。

  • 筋トレの目的: 筋線維を太くし、数を増やすこと。そのために、常に負荷を上げていく必要があります。
  • 動的ストレッチの目的: 筋線維の「質」を高めること。そのために、負荷は上げず、簡単な動作を繰り返すことで、不要な線維の掃除に集中します。

動的ストレッチで筋肉が大きくなることはありません。(ただし、元々筋肉が少なく、余計な脂肪やむくみで膨張していた人の場合、質の高い筋線維に入れ替わることで、引き締まって見えることはあります。)

実践:お尻の動的ストレッチ

言葉だけでは分かりにくいので、具体的な動きで体感してみましょう。

お尻ストレッチ写真
⓵動的ストレッチ
お尻ストレッチ②
⓶動的ストレッチ
お尻伸ばしストレッチ
⓷静的ストレッチ
  1. 四つん這いになります。
  2. 片方の膝を90度に曲げたまま、真横にゆっくりと持ち上げます。
  3. お尻の筋肉が「キュッ」と縮まるのを感じたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

この動きを、負荷をかけずに30〜40回ほど繰り返してみてください。 はじめは筋肉痛になるかもしれませんが、続けていくうちに、お尻の筋肉が引き締まり、動きがスムーズになるのを感じるはずです。これが、動的ストレッチによる「大掃除」の効果です。

まとめ:伸ばすだけが、ストレッチではない

今日から、あなたのストレッチの常識を、少しだけアップデートしてみませんか。

  • 静的ストレッチで、伸ばす力に弱い線維を掃除する。
  • 動的ストレッチで、動的に伸ばす力、または縮める力に弱い線維を掃除する。

この2つのアプローチを組み合わせることで、あなたの筋肉の質は飛躍的に向上し、パフォーマンスは確実に高まります。

「伸ばす」と「縮める」。 この両輪こそが、あなたの身体を真の健康へと導く、最強のコンビなのです。

もし、あなたがダイエット目的でストレッチを行うなら、25分~35分という時間は有効な目安となるでしょう。 しかし、それ以外の目的であれば、時間は関係ありません。

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