ニュースの紹介と「本当の問い」(きっかけ)
最近、NBAでトップ選手のアキレス腱断裂が急増している、というニュースが話題になりました。
この問題に対し、レジェンド選手たちは「現代の選手は練習不足で、基礎的なふくらはぎの強化を怠っている」と警鐘を鳴らしています。
確かに、彼らの言葉には重みがあります。しかし、私はその言葉の裏に隠された、より本質的な問題に光を当てるべきだと考えています。なぜなら、NBA選手たちの筋力が、私たち一般人より弱いわけがないからです。
『なぜ、彼らのアキレス腱は、世界最高峰のトレーニングの負荷にさえ耐えられないほど「もろく」、常に「つっぱった」状態になってしまっていたのか?』
私の臨床が示す「核心的な答え」:原因は下半身ではなく「上半身」にあり
「アキレス腱が弱いから、鍛えれば良い」…そう考えるのは、あまりにも短絡的です。
なぜなら、アキレス腱が過剰に緊張する原因は、筋肉が弱いからではなく、「神経による異常な緊張」以外に考えられないからです。
そして、その神経の異常は、腰や足首だけでなく、実は「上半身」に根本的な原因が隠れています。特に、肩回りが異常に太く、硬くなっているような「不自然な身体」は、広背筋などを介して腰椎への負荷を増大させます。その結果、脊柱全体のしなやかさが失われ、脊髄から足先まで繋がる神経が常に緊張し、アキレス腱をギリギリの状態まで張り詰めさせてしまうのです。
なぜ?根本原因のメカニズム解説
この「筋緊張」は、非常に説明しにくい概念ですが、身体が発している異常なサインの一つです。そして、そのほとんどは、神経の摩耗や伝達異常といった、神経性の問題に起因します。
【負の連鎖】なぜ、アキレス腱は断裂に至るのか
- 現代のトレーニングは、時に「不自然な筋肉」を作り出します。
- 上半身を無理に鍛えることで、広背筋などに過度な負担がかかり、腰椎が歪みます。
- 身体の歪みが生じ、脊柱全体のしなやかさが失われ、神経が常に緊張します。
- 神経の緊張によって、アキレス腱やふくらはぎに「筋緊張」と「むくみ」が発生します。
- むくみは、脳が正常にコントロールできない「認知できない部位」となります。
- その状態で無理な動きをすることで、準備のできていない組織が断裂するのです。
これが、トップアスリートでさえもアキレス腱を断裂してしまう、メカニズムの正体です。弱くてもろくなったのではなく、筋緊張といわれる神経の異常が生んだアキレス腱の緊張が、この悲劇を生んでいるのです。

関連記事予告 アキレス腱の断裂と密接に関わる「アキレス腱滑液包炎」についても、近日中に詳しく解説します。
ではどうすればいいの?「緊張を解く」ことから始めるアプローチ
このアキレス腱の過剰な筋緊張に対し、まず「鍛える」のではなく、「解く」ことから始めます。
関節の可動域や、身体の弾力性を改善するために、腰や骨盤だけでなく、本当の原因である「脊柱全体」に対して適切なアプローチを行います。これにより、神経の異常な緊張を解放し、身体が本来持つ、しなやかな状態を取り戻します。
例えば、「頭部から意識した、胸椎をひねる運動」は、脊柱全体をしなやかに連動させ、アキレス腱の異常な筋緊張を解放する、非常に効果的なアプローチの一つです。
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セルフケアのヒント:まず、自分のアキレス腱と対話する
「ただ鍛える」前に、まずご自身の身体の状態を知ることが、何よりも重要です。 アキレス腱に問題がある場合、その前兆として、アキレス腱そのものが「つっぱって」います。
簡単なチェック方法として、以下の3つのポイントを指でつまんでみてください。



もし、これらの場所をつまんだ時に強い痛みを感じるなら、それは明らかに異常なサインです。これは、ふくらはぎの筋力が弱いからではありません。逆に、ふくらはぎは柔らかくても、アキレス腱だけが異常につっぱっている、という方は非常に多いのです。
まとめ:切れたロープの端を見るのではなく

アキレス腱断裂という問題に対し、「ただ鍛えろ」というのは、切れたロープの端を見て、「もっと丈夫なロープを使え」と言っているのと同じです。
私が本当に問うべきは、「なぜ、そのロープは常にギリギリまで張り詰め、擦り切れるような環境にあったのか?」ということです。
その視点こそが、再発を防止し、真の健康を手に入れるための、唯一の鍵だと私は考えます。
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