Complaint [訴]
- 主訴: サッカーのキック動作時における右股関節前面の痛み。
- 随伴症状:
- 右股関節の屈曲挙上時(自動・他動ともに)の疼痛。
- 右膝周囲の腫れ、お皿(膝蓋骨)下の圧痛。
- 屈伸時にクリック音あり。
- 問診にて、過去にも膝の痛みを感じていたことを確認。
Mitate [見立て]
整形外科的診断(グロインペイン症候群、肉離れ、単純性股関節炎、恥骨結合炎など)はあくまで「結果」であり、痛みを引き起こしている「根本原因」ではありません。本症例では右側を中心に以下の構造的・機能的問題が確認されました。
- 構造的所見:
- 下肢長差と歪み: 右仮性延長(右足が長く見える状態)があり、臀部の高さに左右差を確認。
- 姿勢と重心: アキレス腱の緊張が強く「後方重心」となっている。これにより股関節前面へ過剰な負担がかかりやすい状態。
- 上半身との連動: 肩が前方へ変位(巻き肩)しており、この姿勢が解剖学的な連鎖により股関節をロックさせている。
- 道具・環境要因:
- 靴のサイズ: 実測値より約1.0~1.5cm大きい靴を着用。サッカーにおいてフィット感の欠如は致命的であり、足元の不安定性が右下肢への負担を助長している。
Memo
- 一般的な診断名にとらわれず、なぜその部位に負担がかかるのか「身体の使い方」と「道具(靴)」の両面からアプローチする必要がある。
- 右股関節周囲の筋腱の炎症はあくまで「被害者」であり、加害者は「全身の歪み(特に右仮性延長と肩の位置)」と「誤った身体操作」にある。
Sejyutu [施術]
局所(右股関節)への直接的なアプローチの前に、全身の連動性を整える施術を実施。
- 股関節ロックの解除:
- 患部である股関節には触れず、まずは「胸部・肩」の調整を試行。
- 前方変位している肩を調整することで、連動して股関節のロックが解除されることを本人と共に確認。
- 全身調整:
- 臀部の調整を行い、骨盤帯のバランスを整える。
- 右膝周囲の緊張を除去。
- 指導:
- 上半身(姿勢)が股関節の可動域に及ぼす影響を本人に体感させ、姿勢の大切さを自覚してもらう。
Outcome [果]
- 症状の変化:
- 肩前方の調整を行っただけで、右股関節の痛みが大幅に軽減。本人も患部以外のアプローチでの変化に驚く。
- 最終的にキック動作時の痛みも消失。
- 残存課題と共有:
- 身体操作の改善: 適切な臀部の使い方を指導し、股関節前面だけに頼らない動作を習得させることで予防を図る。
- 靴の重要性: ジャストサイズの重要性を本人と保護者に伝え、道具選びの見直しを提案。